哲学堂公園

哲学堂公園

哲学堂公園は77ヶ所のポイントがある盛りだくさんな公園だ。
駅ハイ「歴史と新しさを感じ、豊かな自然の街をめぐる」で見て回るうちになにが哲学的な発想が得られるような気がしてきたので、哲学堂公園だけで1記事にまとめることにした。
管理事務所で77ヶ所の全解説付きガイドマップを買ってからまわった。マップによると実物のうち、7箇所は失われているそうだ。

哲学関と真理界


「哲学上宇宙の真理を味わい、かつ人生の妙趣を楽しむところ」に至らんと両石柱から園庭に進む。妙趣を楽しむ境地に至るには1回や2回の訪問では至らないだろうな、というのが正直なところだ。

哲理門


哲理門は物質世界、精神世界の根底に「理外の理」という不思議な道理があることを表している。物質世界の不思議として天狗、精神世界の不思議として幽霊で表している。哲理門は哲学堂の正門とされる。写真撮影団体が門を占拠しているので隣の門から入ることにする。和装の若い女性を男性陣が囲んでいた。

常識門


常識門は哲学門と比較して普通の出入り口とされる。
こちらの門も和装の若い女性を囲む男性陣の撮影団体によって占拠されていた。高価なカメラを持つ彼らの荷物が放置されて誰も見てないことに平和だなあと思うところだ。哲学堂公園では有料の撮影会が行われる事も珍しくないようで、Webで探すと画像やイベントが見つかる。
二つの門から入ることをあきらめて、門のない髑髏庵側から回り込むことにした。これは哲理門と常識門の2つの門があっても門から入ることができないという理外の理を表す哲学的イベントだ、と哲学的思考に至った。

髑髏庵、復活廊、鬼神窟


髑髏庵で俗世にまみれた日常的な心を消滅(死)させ、復活廊を通りその精神を蘇生し新たな哲学的な心眼を開く。そして鬼神窟では俗界から切り離された精神をもって人間の目では認識しえない霊魂と神霊の世界に至ることを表す。
仕事に行くにも玄関、エレベーター、オフィスと心を少しずつ切り替えていくことができる。できるかな。できれば心が少しは楽になるのだろうか。

四聖堂


哲学堂で最初に建設された建物。4つの面が正面で、孔子、釈迦、ソクラテス、カントを奉祀している。工事で土が掘り返され、雪の影響でぬかるんでいるが、いずれきれいになるだろう。
哲学堂に限らず、4や8は聖や門などのきりの良い数字だが、どんないきさつでよく使われるようになったのか気になった。

筆塚


哲学堂の建設には井上円了が全国順講した際に揮毫して得た謝礼が用いられている。その揮毫の記念、筆の供養として建てられた。そもそも塚とは何か。普段なんとなく「塚」と呼んでいるものが何なのか、気になってしまう思考に至ってしまうのが哲学堂である。

感覚巒(かんかくらん)


階段が経験を表す、経験坂の途中。経験のためには耳目等の感覚によらねばらならないことを示す。階段を上ることも下ることも経験を積むことならば、平地をあることともまた経験だろう。公園を巡るだけでどれだけの経験を積むことができるのだろうか。万歩計を使えば定量的に測れるだろう。定性的なものは心の中に持っておこう。

客観蘆


客観とは哲学上の概念で耳目に感じる物的世界のことである。この休息所から唯物園、物字壇など物的世界を一望することができる。唯心庭の主観亭と対をなす。
広大な庭を持つくらい金持ちになったらこんな休息所を建てたい。

数理江


物的世界の研究の基礎である数学と理科を象徴して妙正寺川を数理江と呼ぶ。暴れ川だった妙正寺川を数理を尽くした技術を以って治める人間の姿が井上円了先生には見えていたのかもしれない。

哲学の庭


ワグナー・ナンドールによる、哲学/思想的偉人の立像がならぶ。対して現代人がポケモンGoのために立ち並ぶ。だが、偉人の像と知らなければ、ポケモンGOの人と知らなければ、違いなどあるものだろうか。違いは、人の心がもたらすものだ。

物的世界


神秘洞、進化溝、博物提、唯物園、物字壇など物的世界の進化や観測、実験などあらゆる物的世界が集約される。水の流れが進化と変化を表している。凡人の自分には庭にいいなと思うくらいで、哲学思想へ昇華しない。

物理世界と精神世界


物理世界の物事が鏡面反射の物理世界に映り込む。映った世界に何を見るか。映ったそのものではなく、何を見出すかか精神のありようだ。

精神世界


唯心庭、概念橋、理性島、倫理淵など精神世界が集約される。水の静かさに精神の安定を見る。

主観亭


唯心庭など、心界の風光を観察する場である。唯物園の客観蘆に相対する。

演繹観(傘型亭)


「論理に達する参観者は、ここで小憩してよろしく内省し、よく道理に当てはめて断定するようにされたい。」
客観蘆、主観亭と柱が減っていき、ついには1本、しかも地中埋め込みでなくなった。

意味あり気に意味は無し


意味ありげだが特に名前はついていない。だが、示されたものがだけがすべてではない。自分で考え、見出すことが重要だ、ということを表している。

絶対城


劣化や破損の修復並びに消失・改変された箇所を復元するための工事中。施工は社寺建築で有名な金剛組だ。内部の見学はあるかもしれないが、建物の下を見ることができるのはこれから何十年もないことだろう。工事は平成30年7月下旬までの予定となっている。いずれ復元された姿を見に来よう。

宇宙館


哲学とは宇宙の真理を研究する学問で、講習や講和のための講義室が宇宙館である。いずれ中も見てみたい。

三学亭


絶対城と同じく修復工事で登ることができなかった。

六賢台


哲学堂に来たら外せない建物。目立つ建物を外せないのが自分の心が囚われていると思うところだが、人の印象に残るからこその代表的な建物だ。

哲学堂公園を考えれば考えるほどまとまりがなくなって発散してしまった。これだけのものを視覚的に纏め上げた井上円了先生の思考の深さに思いが至る。